最後の石津謙介が着ていたISSEI MIYAKEのシャツ
 
 
"次男の石津 祐介が語る。
「入院中のおやじは、本当におだやかでしたよ。いつもにこにこしていた。いろんなことがわからなくなってからも、オシャレだけは忘れなかったんですよね」病室ではパジャマを着ていたが、検査や散歩などで病室から出るときは、看護師さんに手伝ってもらいながら、きちんとワイシャツとズボンに着替えないと気が済まなかった。
祐介が言う。
「おやじは鏡を見て、首に巻いたネッカチーフを『これはダメだ』とか言って、取り換えたりしていましたね」
-中略-
2005年(平成17年)5月24日、石津謙介は九十三歳で逝った。
直接の死因は肺炎。
息をひきとったときに着ていたのは、大好きな三宅一生デザインの、白地にグレーのストライプのシャツに、薄い茶色のズボンだった。