ぼくは安い材料を使うということにとてもこだわっているんです。お金さえ出せばうまいものを食えるのは当然のこと。だけど、それではあまりに能がなさすぎると思いませんか。スーパーで買ってきたごくありきたりの安い材料を自分なりに工夫してつくるところに、家庭の料理のおもしろさがあるんですよ。そして、料理は平凡ながら、よそとはどこかひと昧ちがうというのもぼくの自慢。
 たとえば、あさりのワイン蒸し。ごくあたりまえにつくって、仕上げにみそを水に溶いて入れる。ワインにみそというとちょっとびっくりするらしいけれど、これがなかなかいけるんです。それにこの鶏の皮ときゆうりのあえもの。鶏の皮なんてタダみたいな値段でしょ。だけどこれがまた栄養たっぷりでうまい。鶏の皮をゆでて、きゆうりを刻みながら、さーて、なにであえようかと考える。この間はマヨネーズにからしをピリッときかせたから、今日はからしのかわりに唐辛子のきいた辛子明太子をいれてみようか……、というわけで、今日は日本酒、ワイン、老酒に合う肴をI品ずつご紹介します。

鶏の皮ときゅうりの辛子明太子あえ・・・日本酒


 


1) 辛子明太子1腹はほぐしてマヨネーズ大さじ3杯と混ぜ合わせる。
2) 鶏の皮50gは塩少々を落とした湯でゆでて細切りにし、きゅうり1本はせん切りにする。
3) ②を①であえて、器に盛りつけ、練りがらし少々を添える。

 

あさりのワイン蒸し・・・ワイン

 


1) にんにく1片はみじん切りにし、みそ大さじ1は水少量で溶いておく。
2) 鍋にオリーブオイルを熟し、にんにくとよく砂出ししたあさり400gを入れて炒め、ワイン1/2カップを加え、
  ふたをしてあさりの口があくまで蒸し煮する。
3) ②に塩、こしょうして、①のみそをまわしいれてできあがり。塩はあとからみそを入れるのでややひかえ目に。



豆腐のサラダ・・・老酒

 


1) 青梗菜1わは油で炒める。
2) もめん豆腐1丁は大きめのさいの目に切って、ふきんに包んで水気をきっておく
3) ピータン1個、水にもどした干しえび大さじ1はあらみじんに切る。ザーサイ、紅しょうが各30gはせん切り、
  あさつき少々は小口切りにする。
4) しょうゆ大さじ2、ごま油大さじ1、豆板醤小さじ1/2老酒少々、隠し昧に砂糖少々を加えて混ぜ、たれをつくる。
5) 器に①を敷き、②の豆腐をのせ、その上に③を散らして、④のたれをかける。食べるときは材料を全部混ぜ合わせる。



(株)ダイヤモンド社
1987年 さわやか奥さん NO53 より